4月17日(水)
【かとう】朝ドトールでは方向性が決まった「小説を書く」という行為をぎゅんぎゅんと尖らせていく。この方向で行く、ということを決心できただけで良かったと思う。あとはこの道を歩いていけばいい。職場ではストレスが募りまくる。イライラ案件に取り囲まれている。定時になるといつものように逃げるように会社を脱出し、クサクサした気持ちでしばらくドタドタと歩いていたら、うしろからドタドタと音がして、振り返ると天使ちゃんが走って追いかけてくるところだった。天使ちゃんは妊娠中なので、走るのはきついと思う。それでも私と話がしたかったそうだ。最近の、私たちの周りのひどい状況について散々文句を言いながら帰り道を歩いた。この子がいて本当によかった。6月からは天使ちゃんはいなくなる。それを思うと不安だけど、私の派遣の契約も残り10ヶ月程度だ。乗り切る。夜、突然にアイスがどうしても食べたくなる。私は、特に平日にアイスを食べたくなることはほぼないけど、今日ばかりはどうしようもなくアイスが食べたかった。冷凍庫にストックしてある小さいパナップがあってそれを食べる。ドラッグストアで50円くらいでミニサイズが売っているパナップは、ちょっとだけアイスが食べたいときにとても便利だ。新しく買った腕時計を、るるるるんLINEで見てもらおうと思って、毎日忘れてしまう。
【UNI】たっぷり寝た。仕事で懸念事項があったので、いつもより一時間早く始業。チームの連絡が入らず、顧客からの連絡も敢えて見ない時間帯。業務をノンストップで進められるのは気持ちが良い。問題もおそらく解決し、今後の対応も決まったと思う。
そのかわり朝のウォーキングはできず、脚やまぶたにむくみを感じる。
午後、町役場から電話。免許証画像がメールで届いていなかった、と確認の電話をかけてきてくれた。親切！やっぱり町役場に依頼してよかった。メールはファイルサイズが大きすぎてエラーになっていた。エラーに気づかず半日ロスしてしまった。先週にこの書類作業に取りかかっていれば心の負担は少なかったはず。でも先週は仕事が山場でまったく余裕がなかった。みんな、どうやって生きてるんだろう。役所も銀行も郵便局も夕方で終わる。郵便は追加料金を払わないと何日もかかる。全部ウェブでできたらいいのに。
結局今日は集合ポストより外には出なかった。夜もなんだかぐったりして、寝ていた。
【クララ】諏訪旅Day2。温泉に浸かったせいか、寝汗で布団が湿っていた。いつもより早く起きて、大浴場へ。ビジネスホテルだが風呂は源泉かけ流しで、肌がキュルキュルになる。朝風呂には柴田を誘わなかった。バスで諏訪大社上社前宮へ。前日に訪れた下社に比べ、木々が鬱蒼と茂っていて、質素な造りだ。その足で山下清美術館へ。160点の作品が展示されているとのこと。「自分が誰にも見られていないと思っている人を見るのが好きだ」というメモ書きにいたく共感した。柴田は「クララに山下清を推してくれたかとうさんに感謝するわ」と言っていた。出口の向こうは売店になっていて、値引きされた今年のカレンダーやポストカードや書籍のほか、山下清には全く縁のなさそうな食器や雑貨などが雑然と並べられている。帳場の前には古いお札がズラーっと並んでいて、係の女性が指示棒を取り出し、山下清がちぎり絵で使用した紙幣を指したり、500円札を見たわたし達の反応から年齢当てをする場面もあった。どうやら山下清作品とお札のコレクターらしい。趣味が高じて美術館を作ったような感じだ。その後さらに歩いて上社本宮へ。お昼を過ぎていたが、開いているのかわからない店ばかりでご飯を食べそびれてくたくただった。「そば・うなぎ」の看板に誘導されること400m、やっとレストランに辿り着いた。メニューには「当店の鰻は関東風です」と但し書きがある。当然うな丼とそばのセットを食べた。鰻はふわふわで美味しかった。
一軒家は二階建てか平屋がほとんどで、庭に薪が積んである家が多かった。薪ストーブがあるのかな。鯉のぼりがそよそよ泳いでいた。高級車が停まっているのに、障子を破れたままにしている家を何軒も見た。
上諏訪駅に戻り、お土産を買って塩尻行きの電車に乗った。持ち手が猟銃の傘を持っている男子高校生が乗車してきた。帰りは多治見の実家に帰るという柴田と途中まで一緒に帰った。本を読み終わりたかったが、柴田に遠慮してバッグから出せずにいるうちに、うとうとしていた。多治見で柴田と別れてすぐ、次の旅のことを考えていた。
文芸ユニット るるるるん
新刊『るるるるんvol.4 ー付箋ー』発表！
付箋小説・旅日記・座談会などもりだくさんです。『るるるるん vol.3 ー鏡ー』も発売中。『るるるるん vol.5』ただいま建設中。
